石見工房：第2回石州神楽祭

2019年5月20日　日本遺産に認定！

島根県西部（石見地域）で伝承される神楽をテーマにしたストーリー「神々や鬼たちが躍動する神話の世界～石見地域で伝承される神楽～」が日本遺産に認定されました。ストーリーを構成する文化財として、石見神楽と大元神楽、それぞれに関する史跡、伝統芸能、伝統工芸品など52の文化財が認定されています。

日本神話をダイナミックに舞い上げるエンターテインメント

石見神楽の起源は諸説あり、室町時代後期～近世以前から演じられていたといわれています。演目は古事記や日本書紀の神話ものが多く、古代の神話を現代に伝えます。

神楽は、元々は、収穫期に自然や神への感謝をあらわすために、地域の神に対して、神主や社人ら神職によって舞われる神事でした。ところが、明治時代の「神職演舞禁止令」によって、神職による神楽が禁止されてしまいました。そのため、担い手が民間へと移り、神事よりも娯楽性が強くなり、時代とともに衣装、囃子、舞が工夫され、非常にダイナミックでエキサイティングな石見神楽へと発展し、現在も進化しています。

今も、島根県石見地方では、収穫期になると神社で夜を徹して奉納神楽が舞われますが、イベントや定期公演、神楽競演大会など様々な場所で石見神楽が舞われています。

地元民も観光客も虜にする軽快な囃子と勇壮な舞

石見地方の保育園に行くと、夕方にテレビで流されているのは「○○ライダー」ではなく、石見神楽です。石見地方あるある話です。

そのため、地域の子どもたちは囃子のリズムも、舞の動作も、口上を覚えており、神楽ごっこで遊ぶほどです。

石見地方では、町中でひとたび石見神楽が始まれば、老いも若きも皆集まって、何時間でも石見神楽を楽しむことができます。

大太鼓・締太鼓・手拍子（手打鉦）・横笛による軽快な囃子は日本人の魂をくすぐり、場面で変化するきらびやかな衣装とダイナミックな舞に興奮し、神対鬼というわかりやすい「勧善懲悪」のストーリーは誰もが楽しむことができます。

地域には定期公演や出張公演もあり、石見地方ならではの激しい石見神楽は、観光客にも人気の伝統芸能です。

地域、神楽社中で異なる魅力

石見地方には、神楽を舞う神楽社中は、100以上あります。

その地域、その社中によって囃子や舞が異なるため、演目が同じでもそれぞれに楽しむことができます。

「私は、○○社中が好き！」というように、各社中にはファンの方がつくほどです。神楽競演大会などでは、そういった異なる社中を一度に見ることができます。

同じ社中でも奏楽者、舞い手が違えば楽しみ方が変わりますし、同じ人でも年を重ねるごとに表現が増してきます。

一時でも長くでも楽しめるエンターテインメントです。

本サイトでは、石見神楽のDVDを販売しておりますが、石見神楽の元は、明治時代の神職演舞禁止令前に神職によって舞われていた神事舞にあります。

実は、神職演舞禁止令後も、山間にあるいくつかの地域は、古来の神楽を密かに受け継ぎ「大元神楽」としてその神事舞を継承されています。イベント的な石見神楽とは異なり、決まった年だけに舞われ、その地域の神様からの言葉をいただく「託宣の古儀」（神がかり）があります。伝統的な神楽を通して神がかりの候補者となる「託太夫（たくだゆう）」に神様に降りていただくわけですが、毎回神がかりがおこるわけではありません。

この日本古来の伝統的で神秘的な神楽は日本でも数が少ないため、大元神楽の日には、地元の方だけでなく、全国の民俗学者の方々もこられる程です。民間へとうつり、エンターテインメントとして発展した石見神楽は様々な場所やDVDで楽しむこともできますが、大元神楽は地元の大元様（ご先祖様を祭る祖霊神）のための神楽なので、決められた年、その土地でなければ見ることができません。※DVDはございません。

島根県は山間部で広島県と隣接しています。石見地方の大元神楽の流れは江戸時代に広島県山県郡芸北方面に伝わったとされています。また、大元神楽の他、出雲神楽や九州の岩戸神楽をはじめとした、様々な地方の流れが融合されたといわれています。広島県内には5つの流れを汲む神楽が存在しており、「芸北神楽」、「安芸十二神祇」、「芸予諸島の神楽」、「比婆荒神神楽」、「備後神楽」があります。その神楽を継承する団体は300近くあり、脈々と受け継がれています。

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